医師転職の事情:山形

地域医療の医師不足が叫ばれている中、山形県の勤務医数は実は減っておらず、県の調べによると2004年末の総数は1524人となり、10年前より1割増加している。しかし、山形大学医学部付属病院の勤務医は10年前と比較すると4%減少しており、これは山形大学医局が県内病院に派遣をする医師数の減少を示し、山形県全体の「医師不足感」を引き起こしている要因となっている。この実態は、大学医局に頼らざるを得ない人事配置と、患者の要求に対応しきれない病院の現状なのである。県民への十分な医療制度と、医師不足の解決には、行政を中心に県全体を見渡した医師配置の仕組みを確立していく必要があると考えられる。

県はこれまで病院の役割分担などをまとめた「保健医療計画」を5年ごとに策定し、医師の供給を山形大医局に頼りきっていた。山形大医学部は1973年、国の「1県1医大構想」に先駆けて設置され、県内の医療体制整備に深く関与してきた。大学医局の県内病院への医師派遣についての責務は重くなり、これは医局の独自の判断次第で医師の派遣や引き揚げが決定されるシステムを意味する。その裏側で大学医局側は「大学は医療法上では、地域医療に対する義務も権限もない」と話し、今後県と山形大は、機能分担を行い、医師の集約化・適正配置で新たな協力関係を築いていこうとしている。医師の派遣・供給がそうした不安定な状況から成り立っている山形県では、大学医局に依存することなく、今後の医師の確保へ向けて、県内の各病院側から能動的に働きかけていかねばならない。

県立中央病院では、卒後臨床研修制度の義務化前から、研修医の勉強会にベテラン医師を参加させるなどして充実した研修を提供していることで、全国から研修希望者を集め、その後も高い定着率を誇っている。

また山形県では、インターネットを利用して、県内の病院、診療所への勤務を希望する医師に医療機関を紹介するドクターズバンクや、町立病院や町村立診療所の医師の確保を支援する目的で、山形県地域医療支援機構を設置している。さらに医学生へ向けて、山形県内の臨床研修・後期研修病院の合同ガイダンスを開催し、各研修病院を紹介するプレゼンテーションや、個別ブースに分かれて実際に研修を受けている研修医や、指導医からの説明を行うなどしている。今後も県内の医師確保に対する積極的な取り組みを期待していきたい。

東北地区:転職コンサルタント:林・角田