医師転職の事情:岩手

岩手県の地域医療を考える上で、最も重要な問題が医師の確保、並びに医師の地域偏在である。多くの医師は盛岡市を中心とした国道4号線、東北新幹線沿いに集中しており、県内9つの医療圏のうち、盛岡医療圏の医師充足率が132.7%であるのに対して、両磐医療圏では106.7%、釜石医療圏ではさらに低い77.5%と、地域によって大きな差がある。

この現状を受け、岩手県では東北縦貫道に接続する複数の横断道路と三陸縦貫道路の高速化による交通網の整備、また光ファイバーの通信網を県内に拡張させることで、医学研修・遠隔医療・遠隔会議をリアルタイムにし、県内の医療・教育・文化の格差を是正していくことを、医師偏在・へき地医療に対する対策として提示している。

そして文頭にも述べたように、医師偏在・へき地医療に並び大きな問題となっているのが、医師の絶対的な不足である。なかでも小児科医、産婦人科医の不足は深刻なものとなっており、岩手県では現在各医療圏で「小児科救急医師研修事業(小児科以外の医師が小児科救急医療の初期対応を学ぶ)」を実施して、他科医師による小児科へのサポート体制を整えるなどの対策を取っている。また産婦人科医の不足については、医師会主導によりドクターバンクを立ち上げることで、すでに定年退職した医師や、子育てのため休職中の女性医師の登録を行い、元産婦人科医の再結集を推進することが、現状への有効な対策になると考えている。

岩手県保健福祉部では県の医師不足を解決すべく、高校生に対する奨学金制度や県内臨床研修制度のPR、研修終了者の定着のための受け皿整備、へき地の住環境や代診医師確保などの整備を行っている。また岩手県医療局では、県出身の医学部学生に対して奨学金制度を設けて医師確保に努めている。さらに岩手医大、県立中央病院をはじめとする県立病院は、県費で研修医指導者育成のための補助金を賄うなど、若い医師の養成に対して積極的な対策を取っており、研修医にとっても魅力のある研修指定病院を数多く整備することで、研修医の県内定着を図っている。

こうした政策をもとに、岩手県は医師の確保を促進し、地域医療のあり方について、希望を抱きながら高い視点で模索していくことを目指している。

東北地区:転職コンサルタント:吉田・谷